山崩れを防ぐ

    根の重量は木(地上部)重量の約1/3と言われるほど、地中で発達する。
土壌中に広く、深く伸びた根は、基岩層の亀裂にまで入り込む。
雨が降って地中に水がしみ込むと土壌が重くなり、傾斜が急な場所ほど、土壌層と基岩層の境目で滑りが起き易くなる。
この時、根が基岩層まで達している森林は、根がすべり面を跨いで土と岩をホールドしているので、崩壊が起こりにくくなる。

土砂流出を防ぐ

    雨滴の落下エネルギーが樹木の葉・枝・幹、下層植生、地表を覆う落葉層で緩和されるため、雨滴が地表にぶつかるときの地表面の破壊が防がれる。
    森林土壌が、スポンジのように雨水を吸収するので、地表流の発生を抑える。

    また、多量の降雨で地表流が生じた場合でも、樹木の幹や、下草、落葉層 が、地表流を減速させる。
    根がしっかりと土を緊縛しているため、土砂の流出及び侵食を防ぐ。
    落葉層の保温効果で、寒冷期の凍結・融解による土壌の弛みが減少する。

洪水・渇水を防ぐ

    森林ではおよそ降水の大部分が土壌中に浸透していく。
しかし、森林に覆われていない土壌では、しみ込むより早く、地表を滑り流れる。

大雨など一度に大量の降雨があると、地表流が河川を増水させ、洪水を招くおそれがある。
    山が保水するかしないかで、山以降の水量・水質の安定が変わってくる。

雪崩を防ぐ

    樹木が密にあると、木が積雪層の移動を抑え、雪崩を起きにくくする。
積雪量に対応する為には、樹木の高さ、太さ、密度が必要となる。
密度が高くても構成する樹木それぞれが弱くては押し倒され突破される。

他に

 樹木の幹、枝葉によって強風を弱める。

 樹木の幹、枝葉で海風中の塩分を補足する。

 樹木、林床植生などによって海岸の砂地を覆い、風で砂が飛ぶのを防ぐ。

 樹木の幹、枝葉により霧粒を捕捉し、乱流を発生させ、霧の停滞を防ぐ。

 樹木の幹によって津波や漂流物の圧力を緩和する。

今まで

    これらの機能をもつ森林は、先人によって効果的に配置され、林帯背後の居住地、農地、生産施設、交通路の安全を守ってきた。

森林率

    全世界の森林率(森林被覆率)は31%である。
この数字は、木が生育しやすい気候で農地開発が気候や地形などで制約を受けた国家、
すなわち冷帯や熱帯雨林地帯の各国や、多雨地域で山岳部を多く抱える国家において高くなる傾向がある。
特に樹木の生育しやすい森林大国と言われるカナダでは森林率は国土の45.3%である。

日本も森林が国土の68.9%を占め、森林大国と言われる。

放置 → 荒廃

    放置林の増加による森林の荒廃が深刻化しており、安価な輸入木材の流入に伴う価格下落から、採算が合わずに森林管理が行き届かない地域が増えている。
必要な時期に間伐を行わない場合、材質が低下し製品としての価値が無くなるばかりでなく、
森林全体が不健康となり、森林の持つ公益的機能が十分に発揮されないおそれが生ずる。間伐を行わないことにより、細く弱い木が林立してしまった状態は「線香林」「もやし林」と呼ばれる。こうなると
日光が下まで届かなくなり、下草が生えなくなるため保水力が低下し、ちょっとした風雨で木は倒れ、表士が流出しやすくなる。さらに、線香林化してから無理な間伐を行うと、残した木も風雪に耐えかねて全滅しかねないため、こうなってしまうと小規模な間伐を少しずつ行うしかなくなる。

調整伐

    主として治山事業において行われる伐採の名称。
実際の施業は間伐に酷似しているが、保安林機能の維持増進を主眼に行う。

人工林

    日本の人工林づくりは、歴史的な視点で見ると、緊急的な国を挙げての事業であった。
少しずつ作られたのではなく、30年ほどの間に国土のおよそ三分の一(1,000万ha)という膨大な森を造林してきた。
戦中戦後に日本中の森が切られ、裸山だらけになった。
山の緑を取り戻そうと全国的造林運動が始まった。
その後の都市復興・住宅建設ブームによる木材需要や燃料革命(薪・木炭から、石油・ガスに)も人工造林を推し進める力になった。

    国土面積            3779万ha    
その67%が森林     2512万ha    
その41%が人工林  1036万ha

    天然林は自然に営まれて往くが、人工林は不自然な状態であり偏りが強いため自然力が及びにくい。

山以降

    間伐することを前提とした森づくりでは、間伐の遅れは致命的結果を招くおそれがある。
風、雪で森の木々がたわいもなく折れる、病虫害。
土壌の悪化や流失。
土壌侵食が進めば、森の栄養が失われ、保水力も無くなる。
それは山だけの問題ではなく、下流のすべて、都市、湾岸にまで及ぶ。